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闘病する人が作ったがん患者術 ― 私の患者術10か条(後篇)

前回に引き続き、元新聞記者、井上平三さんが執筆した「私のがん患者術」より、『私のがん患者術十か条』を採り上げます。今回は後篇として、患者術の6条から10条を引用して考えます。

「引用元:井上平三(2002)『私のがん患者術』岩波書店(38-58項)」

 

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※下記の十か条の引用文が、今回も目次を兼ねます。

 

ー 私のがん患者術 十か条 ―

第六条 治療記録を克明に付ける

第七条 治療法や薬の情報を得る

第八条 高価すぎる民間・代替療法には注意する

第九条 家族や周囲への気兼ねは禁物

第十条 あしたへのささやかな目標をつくる

 

第六条 ≪治療記録を克明に付ける≫

 筆者によると、A4判の紙に、その日の診察状況や医師の説明内容抗がん剤などの治療方法と、その結果についての自分の気持ちや考えを書いたとのこと。さらに、検査数値腫瘍マーカーなど)の変化と薬の処方なども別に記録したと。こうした記録を付けておくと、退院後に症状の変化があった時、入院中に医師と看護師がどう指示したかが分かり、痛む理由や手持ちの薬で良いのかが知れて安心できるとのこと。

 ☆私の感想☆

私の場合、簡単にメモする程度だったので、今思うと、しっかりした記録をカバー付のダイアリーに書いておけば良かったと思います。今はお薬手帳(薬局からもらえる)がありますが、入院時の薬や点滴までは記載されないでしょう。そうした医療記録の管理ができるスマホアプリがあれば便利だと思います。検査数値の推移がグラフで表示できたり。もうすでにあるのかも知れませんが。

 

第七条 ≪治療法や薬の情報を得る≫

筆者は、最近は医学に素人の私でも、本や雑誌インターネットなどでがんの治療法抗がん剤のことをかなり詳しく勉強できるようになったと言います。但しそれと同時に、身近な医師にいろいろ聞きながら、自分で模索して探し当てる重要性を知ったとも。また、処方された薬の不具合は、遠慮せずにどんどん医師に申し出て、自分に合う薬に出会うまで、いろいろ試してみてはどうかとも。筆者は、薬を処方した医師に薬の具合・不具合を伝えることは、患者として大切なことだと言います。

 ☆私の感想☆

執筆時(2002年)のネット環境に比べると、現在は、大学や研究機関等の信頼できるサイトから、質の高い医療情報を数多く収集できます。ただそれでも、執筆時と変わらないのは、医師から聞くべきことは聞き、伝えるべきことは伝える、というリアルなところです。治療における、医師と患者の共同作業の重要性が前篇で語られましたが、そことも繋がるポイントでしょう。

 

第八条 ≪高価すぎる民間・代替療法には注意する≫

筆者によると、代替療法をする場合は、明らかに害になるものを避けるために、担当医師に声をかけて、使用上の注意をよく聞くようにしていると。試す際は、あまりに高価すぎるものには手を出さないこと、安くて安全で、長続きすることが大事とのこと。医師のなかにも、代替療法を頭から否定する人、話は聞いてくれるが勧めない人、少数派の勧める人と、さまざまであると。結局、自分自身でしっかり見極められる程度の勉強をして、距離を置きながら付き合うのがいいのではないでしょうか、と筆者は結んでいます。 ※筆者のいう代替療法 … 医師の処方以外の漢方薬・健康食品・針と灸・ヨガ・気功・アロマセラピー催眠療法・温泉療法など

☆私の感想☆

私は、書店で買った本に載っていた健康食品(無名メーカー)を購入した経験があります。半年ほど試しましたが、効果をまったく確認できなかったため、結局やめました。当時の私は、耳触りの良い話には、すぐに飛びつく心理状態でした。大手食品メーカーの缶入り健康飲料も通販(箱単位)で購入したものの、やはり効果が分からず、数カ月でやめました。痛い散財の記憶です。その一方、主治医から出してもらった漢方薬(保険適用)も使っていました。これは数年かけて服用し、穏やかでしたが確かな効果を感じられました。保険適用でも決して安くはなかったのですが、医師の処方であり、大手医薬品メーカーの漢方製剤であったため、安心して飲み続けられました。

 

第九条 ≪家族や周囲への気兼ねは禁物≫

 筆者が言うには、家族や職場の同僚に気兼ねをしても、どうにもならないことばかりであると。がんを抱えた上に、どうにもならない気兼ねをいくらしても、かえって病状に悪い影響を与えかねないとのこと。それならと、筆者はある程度開き直ることにしたと言います。開き直りは気持ちを軽くしてくれ、気持ちが軽くなると治療に専念できる気がすると。筆者によると、「回復力」を付けるというのは、今必要なことがらだけに頭を集中できるように訓練することでもあるのだと。

☆私の感想☆

家族や周囲の人々に気兼ねをし始めると、肝心の向き合う対象である病気に集中できなくなるというのは、非常によく分かります。もしそんな状況になったなら、話しておくべき事も伝えにくくなってしまいます。関係性が悪くならない程度に開き直って、言いたいことはその都度伝え、やってほしいこともその都度お願いするのが良いかと。もちろん、感謝の気持ちを口に出して、これも率直に伝えることが大事であると思います。

 

第十条 ≪あしたへのささやかな目標をつくる≫

 筆者によると、日々の生活の中でささやかな目標を作り、達成するように心がけていると。仕事と家庭で自分に課した事柄を処理するという心理が、痛みや不安から少しは解放してくれると言います。毎日、短時間でも会社に出て、小さな仕事からこなしていくことが大切であると。また家庭では、朝食の支度、買い物やゴミ出しなどをやり、「私がやらねば誰がする」と自分に言い聞かせてると。筆者は、緊張感と責任感を持つことの大切さを説き、小さな目標の達成感は予想以上の効果を発揮すると言います。

☆私の感想☆

 筆者の言う「小さな目標」とは、できることから少しずつ、というものです。そうやって達成感を得ながら一日一日を大切に過ごすなら、やがては大きな目標にも近づけるのではないでしょうか。また、日々の小さな雑事を丁寧に行うことで、心の雑念が薄れていき、メンタルヘルス的にも良い影響があるように思います。

 

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まとめ

 ある新聞記者の方が闘病時に書かれた「私のがん患者術十か条」を前篇・後篇とふたつの記事に分けて紹介しました。闘病中に、自分の状況を客観的に眺めながら、逐一、連載記事に仕上げるというのは大変な作業だと思います。本文では、多くのがん体験者やご家族の目にとまり、少しでも活用していただければこんなに嬉しいことはありません、との記載があり、新聞記者らしい強い願いを感じました。ぜひこの機会に、今回紹介した患者術を参考にしながら、あなたのMy患者術十か条を作ってみてはいかがでしょう。

 

追記

※前篇で紹介した『私の患者術10か条』の1条~5条を下記に記載しておきます。

 

― 私のがん患者術 十か条 ―

第一条 人生観を変えて治療にのぞむ

第二条 がん告知されたら再発を覚悟する

第三条 気持ちのコントロール術を覚える

第四条 医師と医療を過信しない

第五条 痛みや苦しみは大げさに伝える

 

 

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