とうびょうライトハウス

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闘病する人のセルフマネジメント ― ストレス・コーピング(対処) ―

こんにちは。ジョニージョニーです。

今回はストレス・コーピング(対処)についての記事です。

今回の記事を読むと、闘病時に活かせるストレス対処法について理解できます。

現在入院している方、自宅で療養中の方、あるいは復職したばかりの方など、気軽に役立てていただける内容です。

ストレスにうまく対処できるか否かは、心の健康面だけでなく、病気そのものの回復にも影響するため、ストレス・コーピング(対処)は知っておきたい知識です。

それでは、以下に解説します。

  目次

◇ 闘病時のストレスと宇宙飛行士のストレス

SF映画に登場する宇宙ステーションの内部は、あたかも居心地のよいホテルのように描かれることがあります。

人工重力があるため、乗組員は地上と同じように床に足をつけて歩けます。

しかし、国際宇宙ステーションなど、現実の宇宙船ではそうはいきません。

人工重力は未開発ですし、宇宙飛行士は狭い船内環境の中を浮遊しながら作業しなくてはなりません。さらに船外作業では、宇宙空間へ身をさらけ出すことになります。

そうした状況から、宇宙船は「究極のストレス職場」とも呼ばれています。

地上では当たり前のことでも、宇宙船内ではできないことが山ほどあります。

例えば、水は貴重なため、歯磨きのあと口をゆすぐことができず、歯磨き粉ごと飲み込んでしまうそうです。

作業終了後には、お風呂もシャワーもなく、タオルで体を拭くだけだと。

こうした宇宙飛行士の生活環境は、患者さんの入院生活に通じるものがあります。

日常やれていたことが、ほとんど制限されてしまうという状況。

お風呂はなく、食事は点滴のみ。何より、一日中ベッドの上で過ごすことが当たり前という場合もあるでしょう。

入院時の生活環境は、宇宙飛行士とそれほど変わらない、とてもストレスフルな生活環境なのです。

それでは、宇宙飛行士はどのようにしてストレスに対処しているのでしょうか。

宇宙飛行士のストレス・コーピングは、患者のストレス・コーピングにも応用できるに違いありません。

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「究極のストレス職場」と呼ばれる宇宙。そこで生活し、難しいミッションに取り組む宇宙飛行士たちのストレス対策には、われわれの実生活に生かせる大切なヒントがあった。歌ったり、スポーツを楽しんだり、とっておきの美しい景色を眺めたり。あらかじめ気晴らしになることを準備しておき、意識的に実行していくことによって大きな効果を上げていたのである。

上文は文献『キラーストレス 心と体をどう守るかNHK取材班)』からの引用です。

どうやら宇宙飛行士のストレス対策は、案外、シンプルで分かりやすいもののようです。

次に、宇宙飛行士が採用するストレス・コーピングを解説します。

 

◇ストレス・コーピングの実際

①できるだけたくさんの気晴らしをリストアップする

先ずは、気晴らしの手段としてどんなものがあるか思い浮かべましょう。

思い浮かんだら、どんどんリストアップしていきます。

気晴らしの手段は多ければ多いほど良いです。

100個くらいは書き出してリスト化しましょう。

そしてストレスを感じたなら、その場の状況に応じて、リストの中からやれることを意識的に使っていきます。

※ 注意点として、気晴らしの内容をより具体的にしていくことがコツです。

【例】仕事でストレス発生! ⇒ 仕事帰りにビールを飲む。 =〈より具体的に〉⇒ 鳥の唐揚げでビールを飲む

②「認知するコーピング」も効果あり

仕事帰りにビールを飲むなどの具体的な行動だけでなく、「高校時代の彼女と偶然に出会う妄想」、「年末ジャンボの一等が、ズバリ当たったと妄想」など、何かを思い描くこと、あれこれ想像してみることもストレス対処法(認知するコーピング)になります。

※ コーピングで大切なことは、継続のしやすさです。ちょっとした気晴らしであっても、相応の効果が感じられるなら、日々継続していくことで大きな効果が得られます。

③作成したリストを持ち歩く

ストレスにはできるだけ速やかに対処して、貯めこまない事が大事です。

ストレスを感じたら即座に対処しましょう。

即座に対処するため、あなたなりのストレス対処リスト(100個くらい)の作成がお勧めです。

日頃そのリストを印刷して持ち歩きます。ストレスを感じたらリストを取り出し、その場でできるものをピックアップして対処するのです。

心に負荷がかかったら、すぐにリストから選択して気晴らしをすることです。

すばやい対応は対処効果が大きく、心身の健康を守ることができます

※ 下記に参考例をあげます。

・「何とかなるさ!」と開き直る。・カラオケで新曲に挑戦。・「おはよう」と職場で元気に挨拶。・心の中で父に話しかける。・好きな歌を口ずさむ。・ハワイ旅行を思い出す。・空を見て雲の動きを観察。・古い映画を見る。・ネコをなでる。・花屋の前で色々な花を眺める。・雨に濡れた木々を眺める。・好きな豚骨ラーメンをイメージ。

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④時には真正面から問題解決することも大事

 時と場合によっては、気晴らしのリストから対処するというより、実際に正面突破することが大事になります。

じかに問題解決を図ることこそが大切という場面もあるでしょう。

つまり、直接、問題解決へと踏み出すこともあるのだと意識しながら、対処リストによるコーピングをうまく使い続けることが重要です。

 

 まとめ

発症、入院、自宅療養、また職場復帰において、患者はさまざまなストレスに対処しなくてはなりません。

治療段階がどんな時期にあるのかや、病状の程度、復帰した職場の環境など、その時々の状況によってストレスの質も量も多種多様でしょう。

今回紹介したストレス・コーピングは、日常、患者が利用しやすいシンプルな対処法です。あんまり易しすぎて、ちょっと頼りなく感じられるかも知れませんが、意外と効いてくれます。ぜひ、お試しください。

今回も、最後までお読み下さり、ありがとうございました。

 

 【引用・参考文献:NHKスペシャル取材班『キラーストレス 心と体をどう守るか』NHK出版、2016 】