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コミュニティの大切さを教えてくれるドラマ『ロッジ49』に闘病のヒントを探る ― 喪失から再生へと向かう物語 ―

こんにちは、ジョニージョニーです。今回は、海外ドラマ『ロッジ49』から闘病のヒントを探ります。

病気や障害から苦境に陥った時にこそ、人と人との繋がりが大切です。そのため、人が繋がれる場としてのコミュニティが重要な役割を持ちます。当記事を読むと、ロッジ49の主人公を通して、希望を失いかけている人への、コミュニティの働きや価値を知ることができます。

ドラマ『ロッジ49』は、秘密結社「ヤマネコ騎士団」のカリフォルニア支部・ロッジ49を舞台として展開します。秘密結社といっても、実態は地域の親睦のためのコミュニティであり、その団員は人種も職業も年齢もさまざまです。

旅先で足に障害を負い、好きなサーフィンができなくなり、さらに最愛の父親を失った青年ダッド。そのダッドがロッジ49に転がり込むことで、全10話のストーリーが動き出します。

この物語は、主人公ダッドの喪失と再生の物語です。その再生のプロセスで、ロッジ49というコミュニティが大きな役割を果たしていきます。いくつもの困難や珍事がダッドに降りかかるのですが、個性豊かなロッジのメンバーがそんなダッドに温かく関わります。もちろん、妹リズとも強い絆で繋がります。

闘病中の方も、ダッドと同じように喪失と再生の物語を歩むのではないでしょうか。闘病の物語であっても、『ロッジ49』と同様に人との繋がりが求められ、そうした局面でこそ力を発揮するのがコミュニティなのです。

今回の記事では、コミュニティの働きや価値という観点から、闘病のヒントを探ります。それでは。

  目次

 

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喪失から再生へと向かう物語『ロッジ49』

主人公

ショーン・ダッドリー  愛称:ダッド (ワイアット・ラッセル)

青年ダッドは父のプール用品店で働きながら、大好きなサーフィンを楽しんでいました。しかし、旅先のニカラグアで蛇に足を咬まれ、後遺症から足を引きずるように。さらに、ダッドの父親が海で行方不明になります。溺死なのか自死なのか…ダッドは頑なに自死を否定します。父が残した借金からプール用品店は倒産し、家は競売へと。これ以後、ダッドの彷徨う日々が続きます。

 

他の登場人物

双子の妹 リズ・ダッドリー (ソニア・キャシディ)

法律事務所に勤めていましたが、父の保証人であったため、父の死後、リズはとんでもない額の借金を背負います。返済のため、リズはセクシーレストランのウエイトレスとして働くことに。

 

ロッジの団員 アーニー・フォンテーヌ (ブレント・ジェニングス)

ロッジの古株で配管部品の営業マン。ロッジ49に迷い込んだダッドを入団に導き、さまざまな珍事・困難をダッドとともに乗り越えていきます。ダッドの導き手です。

 

ロッジの団員 ブレーズ (デヴィッド・パスクエジ)

調剤薬局を営む一方、ロッジの歴史や錬金術について詳しく、ロッジの生き字引的存在です。ダッドの良き理解者。

 

ロッジの団員 コニー (リンダ・エモンド)

地元新聞の記者。団員スコットの妻であり、アーニーの高校時代の恋人。その辺りから、微妙な三角関係に発展していきます。

 

ロッジの長(主権保護者) ラリー・ルーミス (ケネス・ウェルシュ

ロッジの最高責任者で、主権保護者と呼ばれます。長老ですが、子どものころからロッジに出入りしていました。アーニーを信頼していて、いずれアーニーを主権保護者にしたいという思いが。少々ボケがあり、コミカルな振る舞いも見せてくれます。

 

ロッジ49 あらすじ

製作年2018年/42‐56分(シーズン1・全10話)/13+/アメリカ(AMC)

配信元:Amazon Prime Video

 

舞台は、カリフォルニア州ロングビーチ。空の青さとは裏腹に、青年ダッドは蛇に足を咬まれてしまい、その後遺症から足を引きずるように。好きなサーフィンができなくなり、仕事も金もない毎日。

 

ダッドは父親のプール用品店を手伝っていましたが、その父親が海で溺れて行方不明に。ダッドは頑なに自死を否定します。プール用品店は倒産し、父親の借金から家まで失うことに。

 

それから1年近くが経過しても、ダッドは立ち直れません。一方、亡き父の借金を背負った妹のリズ。パラリーガル(弁護士の補佐職)の仕事を諦め、返済のためにセクシーレストランのウエイトレスとして懸命に働きます。

 

ダッドは、現実に向き合うリズとは対照的に、おんぼろジープに乗って街をブラブラするばかり。父親への郷愁から、元の家に勝手に入り込んでは、たびたび新しい住人と揉め事を起こします。かつて父の店があった貸店舗に借り手が現れると、目の前でオシッコをしてみたりと。ダッドにとって、父との思い出だけが唯一の救いでした。

 

ある日ダッドは、ビーチの砂に埋もれていた紋章入りの指輪を発見します。その指輪は地元の秘密結社「ヤマネコ騎士団」のものでした。

 

ダッドがおんぼろジープを走らせていると、ガス欠でエンコ。ところがたまたま止まった場所が、ロンドンに本部を置くヤマネコ騎士団のカリフォルニア支部・ロッジ49のまん前でした。あの指輪にあった紋章が玄関先に掲げられています。ダッドは指輪を返すことに。

 

ロッジの扉が開くと、ダッドを黒人の中年男性・アーニーが迎えてくれました。ダッドは冗談めかして「どうしたら入団できるの?」と。アーニーが答えます「入りたいと言いさえすればいいんだよ。真剣に入団を希望する人なら受け入れている」と。ダッドが建物の中を見せてもらうと、謎めいた絵画や王座の間、かと思えばビールを飲めるバーまで。ダッドは思わず「ナイス!」と。ダッドは入団を決めました。

 

アーニーによると、騎士団と言っても実際やることは、奉仕活動やレクリエーション活動であり、黄金の書(ヤマネコ騎士団のバイブル的書物)にある錬金術は哲学的な意味合いだと。ロッジ49の実態は親睦のコミュニティであり、騎士団の歴史ある伝統は、権威性を高めるためのお飾りのようです。

 

しかし、騎士団としての歴史や哲学は単なる権威づけではありませんでした。ロッジのブレイン的存在であるブレーズが、ダッドに以下のように語ります。

 

黄金の書には錬金術が書かれている。鉛を金に変えるという。しかしそれは寓意的な歴史だ。創始者メリルにまつわる伝説は多い。

メリルは”魂の変化”のメタファー(隠喩)こそが錬金術だと解釈した。”ゼロから何かを生み出すにはどうすればいい?”とね。

黄金に変えたというのはメタファーなんだ。

メリルは、錬金術には2種類あると考えた。

一つはペテン師。手っ取り早く富を得ようとする者だ。

そしてもう一つは真実の哲学者。彼らはこの世界を書物のようなもだと考え、それを解き明かそうとした。どう世界を見るかが重要なんだ。正しい目でね。

 

このブレーズの話をダッドが理解できたかはともかく、創始者メリルの哲学はダッドに強い感銘をもたらします。と同時に、このコミュニティへの愛着心がダッドに芽生えるのです。この後、ダッドは入団式を経て正式に「ヤマネコ騎士団」の団員となりました。

 

このドラマの社会背景として、大きな景気の後退があります。その影響から、地元の大企業オービス(航空機製造)が撤退。オービスの跡地を不動産デベロッパーが目を付け、そこに成金の地元ゼネコンも密かに加わり…。こうした地域経済のうねりに、ダッドやロッジの団員たちが巻き込まれていきます。

 

ダッドは派遣でオービスの人員整理の仕事に就きました。仕事はまじめにこなしますが、影のある女上司と微妙な関係に…。その後は、閉鎖されたオービスの夜間警備の仕事へ。さらに、怪しげな地元ゼネコン、ゲイリーの電話番を務めます。しかしこのキャプテンことゲイリーがとんでもないペテン師でした。仕事でゲイリーに近づこうとするアーニーが罠にハマってしまいます。

 

この間、ダッドはロッジとの関りを深めることに。配管部品の営業マン・アーニーとは特に親交を深めていきます。ふたりは、ロッジの内外で起こる出来事に巻き込まれながらも、互いに心を通わせ、ぶつかり合い、そして助け合います。

 

主権保護者としてロッジ49を取り仕切るラリーですが、寄る年波には勝てません。アーニーとのゴルフ中に心臓発作を起こしたり、意味不明なことを口走るなど、ダッドもアーニーも気が気ではありません。主権保護者の地位をアーニーに譲る式典では、とうとうすっぱだかで登場するなど…。心配したダッドはラリーの家に泊まり込むことにしました。

 

ラリーは、黄金の書を取り戻しにメキシコに行くのだと言い出します。アーニーは困惑しますが、ラリーのために車を用意しました。しかしその車中で、ラリーは息を引き取ります。ラリーは生前、ダッドはスペシャル(特別な存在)だといい、アーニーとダッドのふたりにロッジを任せたいとも語っていました。

 

この他にも、ロッジで展開するエピソードとして、ロッジの隠し部屋からミイラが見つかるエピソードや、アーニーとコニーとスコットの三角関係のエピソードが。また、大きなエピソードの合間には、ロッジ主催のコンサートや地域の子どもたちへの食事会もあって、ロッジのコミュニティ活動のようすが伝わります。

 

ダッドの双子の妹リズも、運命の荒波に飲まれていきます。父親の借金返済に追われる毎日。それでも気の置けない職場の仲間に励まされながら、セクシーウエイトレスのポジションをきっちり務めます。

 

双子のふたりは、ソファで仲良くテレビを見たり、時に激しくぶつかり合ったり。結局、強い絆で繋がるふたり。ダッドの心の拠り所はロッジとリズなのです。

 

セクシーレストランの親会社オムニ社から、リズは管理職に昇格できるチャンスを掴みます。さっそく、選考のためのグループワークに参加したリズ。若い女社長から目をかけられますが、競争社会最前線のオムニ社の在りように、リズは違和感を覚え始めます。

 

主権保護者の地位移譲の件で、「ヤマネコ騎士団」の本部、ロンドンのロッジ1から使者・ジョスリンがやって来ました。そのジョスリンから、なんとロッジ49の閉鎖の話が出るのです。その理由は亡きラリーの財務管理の甘さでした。ダッドを始め、アーニーもブレーズも、団員全員、がっかりです。

アーニーは仕事を休んで、ダッドをゴルフ練習場に誘いました。そこで以下のようにダッドに話します。

ロッジはなくなる。

でも俺はここにいる。毎週同じ時間にね。

いいか?毎週だ。会いたくなったら来い。

ダッドは頷きました。

 

そしてダッドとロッジ49の運命は…。

 

ロッジ49の予告動画

www.youtube.com

 

『ロッジ49』から闘病のヒントを探る

★★★

「ヤマネコ騎士団」の支部『ロッジ49』は、大切なものをいくつも失った主人公ダッドに、何をもたらしたのでしょう。

それは人と人との繋がりです。ダッドは最初、ロッジの錬金術の話や装飾に興味を惹かれて入団します。けれど、ロッジと関わる過程でダッドが手に入れたものは、人との繋がりと、生きるモチベーションでした。

 

ドラマ『ロッジ49』は、青年ダッドの喪失と再生の物語ですが、決して楽な上昇曲線を描くストーリーではありません。ロッジへの入団を手掛かりに、人や社会との繋がりを取り戻していくダッド。しかし、いくつもの困難や珍事に直面し、紆余曲折の道のりが続いていきます。そうした難しさがあるからこそ、ロッジの存在、ダッドとロッジの人々との関わり合いが光ります

 

★★★

私が印象に残った箇所の一つは、ロッジ49との出会いの場面です。

ビーチで拾った指輪をアーニーに預けた後、ダッドは建物の中を見せてもらうことに。するとダッドは、装飾や絵画、王位の間などからロッジの雰囲気に興味を惹かれます。さらに、アーニーの語るロッジの歴史や哲学、錬金術の話が、ダッドの気持ちを一層惹きつけました。

ダッドは親しみやすいアーニーに父親のイメージを重ね、ロッジには温かなコミュニティまたは家族のイメージを重ねたのです。初めてロッジに足を踏み入れたにもかかわらず、ダッドの表情には安堵の色が浮かんでいました。家族の柱である父親と家そのものまで失ったダッドには、ロッジへの入団は必然の流れだったのです。

 

★★★

次に印象に残ったところは、ダッドが正式に入団を申し込む日のこと。週一で開かれるロッジの集会の日でした。ロッジ49の長、主権保護者のラリーに促されてダッドが自己紹介する場面。

手短に済ませたいところを、ダッドは、蛇に足を咬まれたことや父親を海で亡くしたこと、仕事と家まで失ったことなど、隠すことなく切々と語ったのです。ロッジのメンバーもダッドの辛さを察してくれました。

初対面のメンバーであるにもかかわらず、自分の辛い顛末を語りつくしたダッド。そうです、ダッドは辛い気持ちを聴いて欲しかったのです。ただの自己紹介ではなく、ダッドにとっては、信仰における告白にも近い自己紹介でした。

実はこのあと、主権保護者のラリーから、ダッドはいきなり頬を殴られてしまいます。直後、ラリーは心臓発作で倒れるのですが、ダッドにとってこの一発は、まさに洗礼だったのです。

※洗礼:転じて、生き方や考え方に大きな変化をもたらすような経験をすること。

 

★★★

次に印象に残ったところは、ロッジの隠し部屋からミイラが見つかったエピソード。ミイラは歴代の主権保護者ウォレスのようでした。壁には幾冊もの古い書物が並んでいます。この件を巡り、ダッドはさらにロッジの歴史や錬金術に関心を深め、ロッジのメンバーとの繋がりも深めていきます。

 

ダッドは、隠し部屋の古い書物に歓喜するブレイズから”真のロッジ”という言葉を耳にします。主権保護者ラリーから真のロッジの意味を聴きたかったのですが、結局、不明のまま。そんなダッドを見たアーニー。ダッドに以下のように話します。

 

アーニーとの対話①

(アーニー)

ロッジには可能性がある。

でもラリーはケチで怠惰、自分勝手だ。

本気でもめた時、俺は辞めようとした。

でもラリーって男は…(笑)、人を丸め込む天才だ。

俺にこう言うんだよ。「アーニー、辞めるな!ロッジは宝物をくれる」

(ダッド)

くれたの?

(アーニー)

ああ、もらったよ。

 

アーニーとの対話 ②

(ダッド)

ウォレスのいう”真のロッジ”が気になる。”永遠の命”の暗号かも”

(アーニー)

ホルムアルデヒドを飲むくらいウォレスは人生を嫌っていた。”大いなる業(わざ)”か。永遠の命より、今を懸命に生きたい。短くても、力強くね。みんなユニコーンを探すが、サイがいるだろ。サイってのはすごい動物なんだ。美しい動物が現実に存在する。ユニコーンが何だ。永遠の命があっても、日曜に一人じゃ無意味だ。

ユニコーン:一本の角を持つ、馬に似た伝説の生き物。

 

アーニーはダッドに、飛躍した幻想を追うよりも、今、ここをよく見ろ。ひとりで思い煩うな、ロッジがおまえにも、きっといい宝物をくれるぞ、と言いたかったのです。

 

★★★

次に印象に残ったところは、主権保護者ラリーにまつわる場面です。長年に渡ってロッジを引っ張ってきたラリーですが、寄る年波には勝てません。心臓発作を起こしたり、可笑しな振る舞いをしたり。自己紹介を済ませたダッドに食わせた一発も、後にラリー本人は覚えがないと。アーニーに主権保護者の地位を移譲する式典では、素っ裸で現れました。

ラリーは式典後、アーニーを奥の院(主権保護者の執務室)に招きました。そしてアーニーに語り出します。

 

ラリーとアーニーの対話①

(ラリー)

「どうだ!すべての中心だ。生ける宇宙の中枢さ」

「お前の部屋だ。好きに変えろ」

(アーニー)

「そうする」

(ラリー)

「座ってくれ。秘密を話そう」

「メリル(ロッジの創設者)の話は知っているだろう。クリミアで戦い、錬金術の哲学に慰めを見いだし、騎士団を作って思想を広めた」

「だが、メリルには伝説もある」

(アーニー)

「冊子に書いてあった。戦争後、メリルは放浪し、砂漠で古代の書物を見つけた」

(ラリー)

「そうさ、夢の聖杯だ。錬金術の秘密が記された書物をメリルは実際に見つけ、大いなる業(わざ)を完成させた」

「書物はロッジ1に埋めたという。それで、どう秘密を守ったか」

「みんなに話したんだ」

(アーニー)

(笑)「何だって?」

(ラリー)

錬金術師であることを隠すには、自分で言うのが一番だ」

「誰も本気にしない」

「真実をうまく隠しただけでなく、伝説めいた話が大ウケしたんだ」

「そして、世界各国にロッジが作られ、人々の救いになった」

「人生は辛いだけでなく、すばらしく、希望もあるものだとね」

 

この後、ロッジ1にあった黄金の書を、ウォレスとラリーの母が盗み出し、ロッジ49に持ち帰ったのだとラリー。しかし黄金の書は、ラリーが借金のかたに手放してしまい、今はメキシコにあるのだと。取り戻しにメキシコに行きたいと、ラリーはアーニーに訴えます。

 

ラリーとアーニーの対話②

(ラリー)

「時が来たんだ。国境を超える。送ってくれ!」

(アーニー)

「だめだ。メキシコには行かせられない」

(ラリー)

「俺には時間がない。老人ホームで過ごすつもりもない」

イカれているが。引くつもりもない」

(アーニー)

「ラリー!」

(ラリー)

「ロッジは宝物をくれる」

(アーニー)

「もらったよ」

(ラリー)

「俺ももらったよ」

(アーニー)

「例の書物か?」

(ラリー)

「違うさ、このマヌケ!オマエだよ!」

(アーニー)

「………(涙目)」

この後、アーニーは腹を決め、ラリーをメキシコへ連れていくことにしました。しかし、アーニーが車のバッテリーを充電している間に、ラリーは車の中で静かに息を引き取ったのです。

 

長年、ロッジを介して繋がり続けたラリーとアーニー。ロッジがラリーにくれた宝物は、決して黄金の書ではなく、アーニーそのものだったと、ラリーが告白したシーンには見ていて心を震わされました。

 

★★★

ロッジというコミュニティは、黄金の書を初めとする謎めいた歴史や哲学が人々を惹きつけるのですが、本当の魅力は、そこでの親睦による人と人との繋がりです。

人種や職業、年齢など、その差別のない繋がり失意の底に沈む人への対応もすばらしいです。しかもそのやり方が、堅苦しくなく、普段着のような気づかいがいいですね。時にぶつかり合ったり、かっこ悪かったりしますが、本音を隠すことなく、あるがままの自分をさらけ出させてくれる、そうしたロッジの受容的なムードが、精神的な芳香剤のように働いています。

ロッジの受容的な人間関係は、希望を失いかけている人に勇気と自信を与えます。その勇気と自信を力にして、再び元の生活や仕事を再開したり、手厳しい社会とも対峙していけるようになります。

患者会や当事者会のようなセルフヘルプグループにおいても、ロッジのような絆や雰囲気、気さくな付き合いがあるなら、より一層、グループの輪が広がるでしょう。

そうしたグループに参加した患者や当事者は、そのグループを自分の居場所だと思えます。居場所においてありのままの自分でいられ周りの人に安心して頼れて、自身の闘病という喪失と再生の物語を、勇気と自信をもって一歩ずつ歩むことができるようになります。

 

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まとめ

いかがでしたか。『ロッジ49』について、コミュニティの働きと価値という所に重きをおいて書きました。失意のダッドに対するロッジの在りかたが、とても面白くて、温もりのあるものでした。

ロッジ49は、ドタバタのコミカルさが売りのドラマであるかも知れません。しかし、患者や当事者に対するコミュニティの関り・在り方という視点で見た時に、とても参考になるストーリーだと感じました。

今回も最後までご覧くださり、ありがとうございました。

それでは。