闘病する人を支える公的制度 ― 高額療養費制度のキホンを解説 ―
こんにちは、ジョニージョニーです。今回の記事は、高額療養費制度についてです。重い病気や長期の入院などで医療費が高額になった場合に利用できる制度です。
この記事を読めば、高額療養費制度を利用するための基礎知識が得られます。高額療養費制度は申請主義です。患者自らが動かないと手続きが進みませんので、気を付けましょう! ※でも大抵は、病院の事務員さん・相談員さんから説明があります。
高額療養費制度を利用すると、月の初めから終わりまでに支払った医療費(自己負担額)が、一定額(自己負担限度額)を超えた場合、その金額が高額療養費として医療保険から支給されます。
重い病気のために医療費が高額になった時、高額療養費制度はとても頼りになる制度です。これまで高額療養費制度の存在すら知らなかったという方、先ずはその基本知識を身に付けましょう。また、利用経験がすでにおありの方も、この機会にちょっとおさらいしておきましょう!それでは。
もくじ
高額療養費制度のキホン
【内容】
重い病気や怪我などから、長期入院となったり治療が長引く場合、医療費(自己負担額)が高額になることがあります。こうした時、高額療養費制度が役立ちます。
高額療養費制度は、医療費の自己負担が1ヶ月あたり一定の額(自己負担限度額)を超えた場合に、超えた医療費分が払い戻される制度です。
自己負担限度額は年齢や収入に応じて区分けされ、月ごとの判定になります。「1ヶ月」とは、その月の1日から末日までのことで、月をまたいだ合算はできません。
例えば、自己負担限度額が9万円の人は、ある月の医療費が高額になっても、9万円で済むということです。
但し、入院時の食事代や差額ベッド代、先進医療に関わる費用などは高額療養費制度の対象外なので注意が必要です。
※ひとりの被保険者につき、同一の医療機関、または複数の医療機関で、入院・通院、医科・歯科別に計算します。入院中に他の診療科(歯科は除く)で治療を受けた場合は合算します。
※世帯合算… 世帯(被保険者と同じ医療保険に加入している人)で、同じ月に複数の医療機関で治療を受け、自己負担額が1医療機関(入院・通院別)あたり2万1千円を超えた場合は合算することができます。
※多数該当… 世帯で、過去12ヶ月以内に高額療養費の支給が4回以上あった場合は多数該当となり、4回目からは自己負担額が軽減されます。
【利用できる人】
医療保険に加入している本人および被扶養者であって、自己負担限度額を超えた人です。
【利用の方法】
高額療養費支給申請書、医療機関の領収書、銀行口座番号がわかるもの、健康保険証、被保険者の印鑑を揃えて医療保険の保険者へ申請します。
※申請期限は、診療を受けた翌月初日から2年以内です。
※申請から支給までに通常3から4ヶ月かかるため、限度額適用認定証(下記に説明あり)、高額療養費貸付制度、高額療養費受領委任払制度の利用も検討しましょう。
【補足】
■ 自己負担限度額は年齢や収入に応じて区分けされます。年齢に関しては、70歳未満、70歳以上で区分けされます。年齢区分された上で、それぞれ収入により区分けされます。 ※75歳以上の方は、後期高齢者医療制度により、高額療養費の自己負担限度額が決められています。
■ 血友病、人工透析を行う慢性腎不全の患者等は、自己負担限度額は1万円になります。70歳未満の一部高所得者は2万円。 ※特定疾病療養受療証の制度利用による。
■ 不明な点は、加入している医療保険の保険者にお問い合わせ下さい。
限度額適用認定証のキホン
【内容】
あらかじめ手続きをすることで、窓口での医療費の支払い額が自己負担限度額だけになる制度です。
高額な医療費支払いが必要になると見込まれる場合は、事前に手続きをしておくことで、当面必要となる現金をより少なくすることができます。
【利用できる人】
医療保険に加入している本人および被扶養者で、窓口負担が1か月の医療費の自己負担額を超えた人です。
【利用の方法】
健康保険証、被保険者の印鑑を揃えて医療保険の保険者へ申請します。保険者によっては、郵送で受けつけてくれる場合もあります。 ※住民税非課税世帯の場合は、非課税証明書が必要です。
【補足】
■ 限度額適用認定証は、申請受付月より前の月に遡って交付を受けることはできません。
■ 医療機関に提示できなかった場合や、保険料の滞納などにより限度額適用認定証が交付されない場合は、高額療養費の申請を行うことになります。
■ 1か月のうちに複数の医療機関、あるいは入院・通院が複数回あり、合算して限度額を超えるときは、高額療養費の申請を行うことになります。
■高額療養費と同様に、健康保険適用外のものは、別途支払いが必要です。
☆高額療養費の概要がわかる動画を下記に置きました☆
まとめ
いかがでしたでしょうか。ちょっと面倒くさいなぁ、と思われた方もおられるでしょう。でも、基本的に患者が動かないと使えない制度ですので、医療費が高額になった際は、そう、あれあれ、高額…、そう、高額療養費だ!と思い出して下さい。この制度の名前を思い出したなら、あとは病院の事務員さん、相談員さん、または加入している医療保険の保険者さんに尋ねてみましょう。きっと丁寧に詳しく教えてくれます。闘病時には節約の知恵が大切です。
最後までご覧下さり、ありがとうございました。
【参考文献:NPO法人 日本医療ソーシャルワーク研究会 (編集)『医療福祉総合ガイドブック 2018年度版』医学書院、2018年】
【参考文献:ケアマネジャー編集部 (編集)『現場で役立つ!社会保障制度活用ガイド』中央法規、2019年】